「大丈夫だろう」が一番危ない

介護現場におけるリスクマネジメントは非常に重要だ。少しの気の緩みが利用者の命に関わってくるからである。リスクマネジメントの根底として、利用者がどのような行動を起こすか分からない、そして体は想像以上に不自由であるという認識が重要だ。

まずは、利用者の逃亡が各施設で危惧されている。利用者の中には実家で暮らしたいと強く考えていたり、施設に馴染めていない場合は逃亡という手段に出がちだ。これに備えてあらゆる扉の施錠をするのはもちろん、利用者の行動を常に監視する必要がある。特に職員だけが使うような裏口は利便性向上の為日中は施錠しないケースもあるので注意しなければならない。痴呆など脳の機能が著しく低下している利用者は、意図せずして外に出ようとすることもある。万が一施設外に出てしまい、交通事故などが発生すれば大きな問題となって施設の運営が窮地に立たされるのは確実だ。

施設内での怪我についても細心の注意が必要である。一般的な感覚で見てしまうと施設内での怪我などあり得ないと感じてしまうかもしれないが、介護を必要とする方は体が不自由なのだ。なので何てことのない段差でも転倒したり、最悪何もない場所でも脚が引っかかって転倒する。高齢者は骨がもろくなっている場合が多く、転倒は骨折に繋がる場合がある。なるべく一人で行動させない、行動を急かさないというケアが必要となる。介護現場では何事にも、大丈夫だろうの精神ではなく危険かもしれないと思わなければならない。